映画「フォーリング・ダウン」は2019年7月1日13時35分から、テレビ東京で放映予定です。
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名優マイケル・ダグラス主演のこの映画は、 1人の男の目線から社会の不条理について考えさせられる映画です。
この映画のあらすじを読むと、いかにこの映画の奥が深いのか分かると思います。「フォーリング・ダウン」のあらすじは、1991年のロサンゼルスから始まります。
目次
映画「フォーリング・ダウン」のウィリアムの行為
猛暑の中で、クーラーの効かない車内の中でサラリーマンのウィリアムは渋滞に巻き込まれていました。
一見、彼の行為は滅茶苦茶です。渋滞だからと車を置いていったり、両替を断られ、更に買おうとしたコーラの金額が高値だと分かり店の中で暴れ、カツアゲされそうになればバットで殴り逃走。
ハッキリ言って、ここまであらすじを読んだ人は、この映画に対する評価に迷うと思います。
ブレンダガスト刑事
私も最初は戸惑いました。そして、 ウィリアムと同様に、この映画には ブレンダガストという刑事もメインキャラクターとして登場します。
情緒不安定な妻に悩むプレンダガストは、ウィリアムの行方を追います。この映画は、なぜこれまで平凡だった男が次第に凶悪犯のようになっていくかを描いたものです。
それは、誰の心の中にも潜むマイナスの感情なのです。ウィリアムという男は、酒もドラッグもしない男です。
では、彼は人間的に素晴らしかったというとそうではありません。離婚した妻は彼を恐れ、娘にさえ会わせてはくれません。
バットで店を破壊し、マシンガンで店員を脅しても、律儀に彼は代金をきちんと置いていくのです。
プレンダガストはウィリアムを追いかける事に夢中になっていきます。この映画の恐ろしい所は、人は何がキッカケで凶暴になるか分からないという事です。
もし、この日。猛暑じゃなかったら、ウィリアムは車を 置いては行かなかったでしょう。また、もしあの時に 両替が無事に出来ていたら 、もしコーラが 正規の値段で売られていたら、 ウィリアムがバットで暴れる事はなかったでしょう。
もしカツアゲに会わなかったら、ウィリアムがマシンガンを奪う事もなく、その マシンガンを脅しの道具として使う事はなかったでしょう。
ウィリアムの元妻
なぜ、ウィリアムがここまで凶悪になってしまったのか。その理由の1つは元妻にあったのかもしれません。
ウィリアムは、最愛の娘に会いたいだけの一心だったのでしょう 。娘の誕生日 プレゼントにスノードーム型のオルゴールを買うウイリアムは、普通の父親の顔をしていました。
何がウィリアムをそこまで変えてしまったのでしょう 。その理由の1つは、ウィリアムが軍需工場で働いた事にあるのかもしれません。
一か月前に会社をクビになってしまったウィリアムの中で何かが弾けたのだと思います。
ウィリアムにとって、取り戻したかったのは、幸せだった頃の事です。妻と娘に囲まれて、ただ穏やかに過ごしたいというのが 彼の本音だったのかもしれません。
やっと着いた元妻の家には誰もいなくて、ホームビデオ1人で見る彼の気持ちは、一体どんな気持ちだったのでしょう。
ウィリアムの行動は1人の男の人生もまた変えてしまいました 。プレンダガストは、ウィリアムを追う内に、次第に 周囲の理不尽さに感情を爆発させていきます。
早く帰るように言う妻を一喝し、自分の事をバカにした同僚を殴って、プレンダガストは警察署出てしまうのです。
この映画のあらすじでは、単にウィリアムの凶暴性ばかりが押し出されたようなイメージを感じるかもしれません。
ですが、本当にウィリアムだけが悪いのでしょうか。ウィリアムに対して 両替を断り、コーラの値段を高額にした店の主人や カツアゲをしようとした若者は 、そして娘に会わせようとしなかった元妻は本当に正しかったのでしょうか。
周囲の理不尽な行動
この映画の持つ恐ろしさは、凶悪な事件を引き起こすキッカケは、当の本人ではなくて、その周囲の理不尽な行動ではないかという事です。
人には、誰だって限界があります。 その限界を超えた時に 、もしかしたら 人は凶悪な気持ちを 抱いてしまうのかもしれません。
真面目に働いてきたウィリアムは、 周囲の理不尽な対応に腹を立て 、その理不尽さに立ち向かっただけではないでしょうか。
この映画は、一人の男の視線を通じて理不尽さとは何か 、そして本当の愛情とは何かを感じさせる映画でした。
凶悪なことをしてきたウィリアムですが、元妻や娘に会いたいという気持ちは本当だったんだと思います。
フォーリング・ダウン。この言葉の持つ意味は、落ちていくですが、ウィリアムは何からフォーリング・ダウンしたのでしょう。
皮肉な事ですが、 そのウィリアムの気持ちを一番理解出来たのは、プレンダガストだったのかもしれません。
もし彼らの立場が違えったら、 最高の友人関係になれたのかもしれません。プレンダガストもまた、フォーリング・ダウンした人物なのかもしれないのです。
この映画を観終わった後、改めてあらすじを読むと、その映画のタイトルに これほど深い意味があるのかと考えさせられる作品です。「フォーリング・ダウン」は、日常生活の理不尽さをさらけ出した映画だと思います。
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