「言の葉の庭」のあらすじ！幸せとは、決して華やかなものではない

「言の葉の庭」が２０１９年７月１１日にテレビ朝日で深夜２時４４分から放映予定です。もし、「言の葉の庭」を見逃した場合、こちらで現在は観れますので参考にしてください。期間限定なので、最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

「言の葉の庭」は、まるで芸術のような作品です。男子高校生と年上の女性が出会い、惹かれていく様子が鮮やかで美しい映像で描かれています。

そのあらすじは、靴職人を目指す男子高校生のタカオが、雨の日に学校サボって、庭園に行く所から始まります。

タカオとユキノ

タカオは、そこで昼間からビールを飲んでいる女性と出会いました。どこかで会った気がするとタカオが言うと、女性は会っているかもねと呟きます。

ここで、印象深いのは、タカオが公園で出会った女性です。ユキノというこの女性は、去り際に万葉集の短歌を言い残していくんです。

「雷神（なるかみ）の少し響みてさし曇り、雨も降らぬか君を留めむ」この短歌はタカオの胸に残りました。なぜ、この短歌をユキノはタカオに言ったのでしょう。

謎めいた女性との出会いは、タカオの胸に深く残ったと思います。恋の始まりを意識する人はいないと思うのですが、タカオは明らかにユキノに恋をしていたと思います。そして、また雨の日にタカオとユキノは庭園で会いました。

学校と会社をサボった二人の間には、まるで特別な時が流れているようでした。「言の葉の庭」この言葉の意味を感じさせるシーンです。庭園の中だけで他愛なく交わされる言葉の数々。この映画を観る前にあらすじを読みましたが、その時のイメージを覆すような内容でした。

淡々としているのに、タカオとユキノの会話はまるで音楽のように心地良いのです。そして、時おりユキノの台詞に見える彼女の孤独。大量のチョコレートを見て驚くタカオにユキノが、「人間なんてみんなちょっとずつおかしいから」というシーンでは、彼女がこれまで抱えてきた何かを感じさせました。

雨の日だけの二人の世界。お互いの事は名前も含めて何も知らないのに、なぜかお互いに心地良い関係になっていきます。タカオはいつの間にか雨の日を願うようになりました。

そして、「言の葉の庭」は、まるで幻想とリアルの狭間にあるような作品です。雨の日にしか会う事のない二人は、まるで幻想の世界に生きているかのようでした。ですが、タカオは気がつきます。

高校生の自分は子供で、ユキノは会社に行っている社会人。それは、タカオにとって埋められない溝のように感じたと思います。

決して埋まる事のない溝を意識しながら二人の交流は続きます。そして、ユキノにはある秘密がありました。

これまで、ユキノはアルコールとチョコレートの味しか感じられませんでした。ユキノは、仕事のストレスから味覚障害になっていたのです。

ですが、タカオの弁当は味がしました。その味は、ユキノの心にも変化をもたらしたのだと思います。

ユキノの為に靴を作る事を決めたタカオ。でも、季節は無情にも夏となり、雨は降りませんでした。

ですが、タカオは思わぬ場所でユキノと会うのです。ユキノは、タカオの学校の古文の教師でした。生徒から逆恨みされ、噂を流され、ユキノは学校に来れないほど追い詰められていたのです。

タカオが、ユキノを逆恨みした女子生徒を叩くシーンは、言葉ではない、一世一代の告白のようでした。

「言の葉の庭」というタイトルの中、言葉ではない感情が迸るシーンでした。そして、激しい感情の後はまた穏やかな時が流れ始めるのです。

庭園で会ったユキノに、タカオは短歌を送ります。「雷神（なるかみ）の少し響みて降らずとも我は留らむ妹し富めば」

この短歌は、ユキノが望んだ答えでした。ユキノが読んだ短歌の意味。「雨が降ったら君はここに留まってくれるだろうか」

そして、タカオの読んだ短歌の意味。「雨なんか降らなくても、ここにいるよ」それは、何て美しい想いを伝え合うシーンだったのでしょう。

そして、ユキノにとって自分の事を知らないタカオの存在は心の拠り所だったのかもしれません。

タカオと会っている時だけ、ユキノは自分らしくいれたのかもしれません。幸せとは、決して華やかなものではないと、「言の葉の庭」は教えてくれています。

些細な会話の中にこそ幸せを感じる事が出来るのです。四国へと赴任するユキノにショックを受けたタカオでしたが、感情をぶつけ合い、二人の心はより一層強くなっていきます。

そして、タカオの心にはいつもユキノとの思い出がありました。二人が交わした言葉の数々が心に残って離れません。

人を愛する事ってこういう事なんだと改めて知る事が出来た映画です。例え、相手の名前や年齢を知らなくても、好きになるのにそんな事は必要ないのだと、タカオとユキノを見ていると思います。

幻想的な庭園の中の恋が、現実に歩みだしたのです。この映画を観る前は、あらすじを読み、ただ単純に男子高校生と大人の女性の恋愛かと思っていました。

ですが、いざ映画を観てみたら、そんな単純なものではなかったのです。そして、映画を見終わった後で改めてあらすじを読んでみると、その奥深さを感じます。この映画を観る時には、ぜひ映画を観る前と後にあらすじを読んで欲しいと思います。