バンコック・デンジャラスの映画が2019年6月4日にテレビ東京で放映されます。以前に「バンコック・デンジャラス」を観た感想は、孤独と優しさが交差する映画だと思いました。
バンコック・デンジャラスの映画の内容もご紹介していますのでご了承ください。
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目次
殺し屋であるジョー
殺し屋であるジョーは、自らに厳しいルールを課していました。そのルールを黙々と守る事により、ジョーはスマートに仕事をこなしていました。
暗殺の後には助手として雇った人物をも殺すほど、ジョーは自らの掟に忠実で冷酷な男だったのです。
ですが、最初の躓きはコンに会った事です。バンコクでの仕事の助手として出会ったコンは、ジョーを最初に変えた一人かもしれません。秘密厳守のルールから、ジョーはコンを殺そうとしますが、そうは出来ませんでした。弟子にして欲しいと懇願され、ジョーはコンに格闘技を教えます。
その時間、ジョーは暗殺者である自分を忘れる事が出来たのではないかと思うのです。そして、もう一人はフォンです。
フォンとコン
聴覚障害を持つフォンは、ジョーにとって、特別な存在になっていったのだと思います。
彼女と会っている時のジョーは、少なくとも暗殺者ではありませんでした。
出来れば、このまま平穏に暮らせたら。フォンにこの事がバレなければと思うのですが、やはりフォンにジョーの正体が知られてしまうのです。それも、最悪な形で。
おそらく、暗殺者としての姿を、フォンにだけには見られたくなかったはずです。ジョーの正体を知った時の、フォンの怯えた表情は、彼女の心の傷がどれほど深かったのかを教えてくれました。
ジョーか恐れていたのは、知られて嫌われる恐怖ではなく、フォンを怖がらせてしまうからではないでしょうか。
彼女には、ずっと笑っていて欲しかったと、それがジョーの願いだったのではないかと思います。
恋に破れたジョーには暗殺者に戻るしかありませんでした。それでも、彼にとって、大切な存在が残っています。コンです。
これまで、仕事以外の人間とは一切関わらないと決めていたジョーにとって、コンは特別な存在だったと思うのです。
コンが捕らえられた
彼が敵に捕まった時に、ジョーは暗殺者としてではなく、銃をとりました。「バンコック・デンジャラス」このタイトルの感想は、ジョーの危うさを表す言葉なのかもしれません。
もし、ジョーかいつものように冷酷な暗殺者のままなら、彼は無事に逃れられたでしょう。
もし、冷酷な心のままなら、コンが捕まっても、彼を見捨てて逃げていたはずです。
ですが、彼はそうはしなかったのです。もう、冷酷には戻れなかったのかもしれません。一人で敵のアジトに乗り込み、次々と倒していく姿に、彼の深い覚悟が見えた気がしました。
もしかしたら、敵のアジトに乗り込んだ時、ジョーは既に帰れない事を覚悟したのかもしれません。
コンと、彼が恋するオームを救い、自らは敵と共に残りました。警察に囲まれ、逃げる場所もないまま、ジョーは敵を道連れに散っていきます。
一人の男の半生
その最後を、コンはずっと見つめていました。コンには、それしか出来なかったのです。
「バンコック・デンジャラス」の感想は、冷酷さと情の狭間で揺れる一人の男の半生を描いたものだと思いました。その人生の、なんて孤独で、なんてひっそりとしたものなのだろうという事でした。
この映画で印象的だったのは、ジョーがフォンとの交流で見せる時の、ふとした表情でした。
耳が不自由なフォンに対して、身ぶり手振りで説明する姿が、どこか初々しくも見えて、彼が暗殺者である事さえ一瞬忘れてしまいました。
ある意味、こういう映画は今までもかなり作られてきたので、新鮮さという観点から見ると低いかもしれません。
ですが、そのありきたりと思われがちなパターンを、逆に活かしたのが、「バンコック・デンジャラス」なのではないでしょうか。
孤独だったジョーの人生に、ほんのささやかに灯った灯り。それは、コンやフォンと過ごした日々だったのではないかと思うのです。
スポットライトを浴びる所が、暗殺シーンではなく、フォンとの時間や、コンを救いに行くシーンに当たっていたのではないかと思います。
「バンコック・デンジャラス」を見終わった後、ジョーのこれまでの人生に思いを巡らせるような気持ちになりました。
映画には描かれなかった、彼がどのような生い立ちで、どのように育ち、そしてどのように暗殺を行ってきたのか。映画の凄さは、映画に描かれない部分を想像させる力ではないのでしょうか。
全てが片付いた後、コンはどのように生きていくのかと気になったのが、素直な感想です。
ジョーは、きっとコンには普通の生き方をして欲しいと願っていたのではないかと思います。
ジョーの心を動かしただけの魅力を、彼は持っているのです。この後、コンはジョーの事を語り継いでいくのかもしれません。
たった一人で孤独に耐えてきた男の、孤独を捨てた代わりに得た、ほんの一時の心の安らぎ。残されたコンが、どのようにジョーの事を語り継いでいくのか、そのシーンも見てみたかったと思います。
見終わった後に、余韻を残すような映画でした。出来たら、もう少し先を見たかったというのが感想です。
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