限界団地第1話は、なんだかホラー映画より怖かったという印象でした。ホラー映画だと、こんな事あり得ないよ。と、なるのですが、今回のドラマを見ていると、あり得そうと思ってしまいます。
それに、寺内がしている事は、本来なら正しいはずなんです。引っ越しをしてきたんだから挨拶をする。ごくごく普通の事なのに、確かに最近は引っ越しをしてきても挨拶をしない人がとても増えました。だから、前半は寺内が可哀想に見えてきます。
仲良くしようと必死になればなるほど、周囲は離れていくし、ウザイ人という風に見られているのかいたたまれない気持ちにさせます。でも、寺内が溺愛するほのかちゃんがたけし君を叩いた事から、だんだんと怪しくなってきます。確かに、悪いのはたけし君なんです。団地の悪口をあそこまで言わなくても。と、思いました。
でも、どんな理由があっても叩く事はいけません。その事は寺内もほのかちゃんに説明してはいるんですが、寺内の行動はどんどん怪しくなります。
ほのかちゃんが、たけし君のお母さんに手紙を書くのですが、たけし君のお母さんは破いて捨ててしまいます。それを見ている寺内。って、なぜそこに!?と、誰もが思わず言ってしまうシーンが随所にあるんです。
そして、一番怖かったのは寺内と依田の会話です。あんなに仲良く話していたのに、依田が亡くなった奥様を思い泣き出した時の寺内の顔。なんだかゾワッとしてしまいました。そして、その後依田は自殺しているんですが、「本当に自殺なんだろうか)と、思わず疑ってしまいます。
そして、このドラマを怖いと感じるのは、あまりにリアルだからではないでしょうか。まるで、本当にこの団地で起きている事を見ているような気がするのが、怖いと感じる原因かもしれません。
それにしても、寺内役の佐野史朗さんは相変わらずミステリアスな役がとても似合うと思います。
もちろん普段の佐野さんはとても優しそうなのですが、今回の寺内の場合は、その笑顔が怖いです。
本当に善意で行おうとしているのか。それとも善意の仮面を被ったモンスターなのか。
第1話だというのに、こんなに怖いと感じるのですから、これから先はどうなのだろうとドキドキします。
限界団地は、現代社会の闇を見事に写し出したドラマだと思います。この先、どんな展開になるのか全く分からないのですが、せめて、ほのかちゃんにだけは「良いおじいちゃん」のままでいて欲しいと思います。