松重豊さん演じる井之頭五郎が、韓国出張二日目にイム社長にリサーチ結果の報告を終え、会議室で社員たちが食べている韓国のちゃんぽんやジャジャ麺を横目に会社を後にし、急にお腹が空きます。
帰りの飛行機の時間まで余裕があるため、例のごとく近所を歩きながら店を探します。孤独のグルメSeason7以前のシリーズでも韓国のお店に一人で入って食事を取る五郎さんですが、日本と同様に振る舞いながら、おひとりさまを貫く度胸には感心します。
今回の第10話でも、日本の昔の飲食店の佇まいを感じさせる焼肉店を見つけます。言葉の壁のため、注文の際には、身振り手振りで、隣の客のお皿を指差したりしながら、なんとか意思を表現します。
隣の韓国人からは「面白い日本人だ」と言われていることもわからず、ニコニコしながら、食事のことしか頭に浮かびません。注文が済んだ途端に、小さな皿にナムルやキムチなどおかずの皿が数多くテーブルに並べられていきます。しかも、味噌チゲの石鍋まで出てきます。
韓国の細長い銀の箸に銀のうつわにも、日本の食事風景とは違う異国の感じを受けながらも、どことなく日本に近いものも感じます。日本の付け出しとは、比較にならない皿の数が並ぶテーブルに、メインとなる骨つきの大きな一枚肉を店員が持ってきて炭火で焼き始め、その焼き加減の管理を店員が行うことも、日本との違いを感じました。
肉を細かく切る際にハサミを使うことも、韓国を感じました。店員のOKで、五郎さんが骨を手で持ってしゃぶりつく姿は、肉のうまさが画面を通じても感じられ、深夜の時間帯ながら食べたくなりました。
その肉を攻略した後、隣の客に影響され、チャドルバギとライス半分を追加し、間食します。肉が違うことでのうまさが、五郎さんの食べる表情からも伝わり、その合間にみせる周囲の情報を得ようとする表情にも愛嬌を感じます。
満腹になって、周囲を見渡すと、その店の常連らしきおじさんが、店員と会話しながら、焼肉屋なのに魚料理を食べていることに驚き、その堂々としたやりとりに達人感を感じます。孤独のグルメSeason7でも、いわゆる地元の食堂という体裁のお店に立ち寄ることで、チェーン店とは違う食の魅力が表現されています。
しかも、前回と今回の第10話では、日本を飛び出して韓国の地元のお店を舞台にしていることには、驚きます。深夜帯の放送で、五郎さんのひとり飯での食べっぷりには、深夜の空腹感から何か食べたい衝動を抑えることが辛いです。